『騎士団長殺し』第一部を読み終えて(ネタバレなし)
僕は村上春樹が好きです。2017年2月24日に発売された最新作『騎士団長殺し』ももちろん発売日に買いました。ですが簿記試験の直前であったり、他にやるべきことがあってなかなか読むことができませんでした。ようやくGWになり、まとまった時間ができたので、どんどん読み進めて第一部を読み終えることができました。今日は内容にはできるだけ触れず、小説について書いてみたいと思います。
小説との出会い
それまであまり本は読まなかったんですが(高校のときにダヴィンチ・コードを読んで一瞬読書にハマった)、大学1年の夏休みに自動車免許の合宿で山形に行ったときに、あまりに暇だったので本でも読もうと思って、伊坂幸太郎の『ラッシュライフ』を読んだのが小説にハマるきっかけでした。
読んだことがある人はわかると思いますが、彼は物語の伏線の回収が素晴らしい!ですよね。バラバラに散りばめられたパーツがいつの間にか集まってきて最後には誰もが納得する形で終わる。「そうだったのかー!」「なるほど!」こんなに気持ちのいい小説はありません。その後も伊坂幸太郎を中心に、宮部みゆきや乃南アサといったミステリー小説を読むようになりました。
村上春樹との出会い
正確な時期は忘れてしまいましたが、大学1年の冬か、大学2年の時に読んだ『海辺のカフカ』が最初だったと思います。
海辺のカフカは今でも大好きで、少なくとも4回は読んでるし、舞台も観に行きました。
カフカ少年の孤独を自分に重ねたくなったりして、バスに乗って旅をしたくなる。四国に憧れたのもこの本のおかげ。カフカ少年と同じ15歳くらいの時に読みたかったなと常々思います。
その後は『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』をはじめとした有名作品を読み漁り、いわゆる青春三部作なんかは割と後の方で読みました。途中で『1Q84』が発売され、これはリアルタイムで読みました。
村上春樹の魅力
それまで伊坂幸太郎のような考え尽くされた物語を読んでいた僕は、村上春樹を読んである意味衝撃を受けました。彼の本は伏線が回収されないんです。
え、なんでこうなったの?答えを本の中に探しても見つからない。ネットで考察記事を探してもみんな考えることが違う(考察記事といえば、ちょうどこの頃ネットをやるようになって、エヴァの考察記事を読んで「なるほど」と思ったりしていました)。
最初の衝撃というか違和感を抱えながら次の本を読んでも、やっぱり答えなんてないし、ストーリーに意味なんてないことに気づく。そして物語に共感するとか、怒り、悲しみ、喜びといった感情をも超えて、純粋に文章を楽しむための小説なんだな。と思うようになります。
さらにどの物語の主人公もどこか冷めていて、周りから浮いている。だけど女性には困らない。大学で友達が少なかった僕は、次第に村上春樹に影響されて、孤独でクールぶっていたような気がします(笑)。あと特筆すべきことは、性描写がなんというか激しい。
こうして村上春樹にハマってしまった僕は、それまで好きだった伊坂幸太郎や他の小説では物足りなくなってしまうのです。
騎士団長殺しはどう読んだか
まず今回の「騎士団長殺し」ですが、2010年の『1Q84 BOOK3』から7年ぶりの長編小説とのこと。ってか1Q84ってそんなに前なのか。前作「多崎つくる」は2013年。短編を抜きにしたら新作の小説としては4年ぶりですね。
騎士団長殺しは全2巻で
第一部 顕れるイデア編
第二部 遷ろうメタファー編
となっています。
おおぅ、イデアにメタファー。というか漢字読めないし。顕(あらわ)れるに遷(うつ)ろうと読みます。イデアといえばFF8の魔女を思い出すし、メタファーはカフカでもテーマになっていましたね。なんとなく概念的なイメージを持てます。
純粋な気持ちで読みたかったので、前情報は全く入れずに読みました。 まだ第一部だけだけど。
どんな感じだったかというと、一言でいえば村上春樹あるある。以上。
村上春樹好きであれば、今回の話はあるある過ぎて少しつまらないかな〜という印象。
実際それで読むスピードが遅くなってしまったのもあると思います。序盤はなんか村上春樹でよくあるパターンだったので冷静に読み始め、途中から面白くなってきて少し熱中する。しかし終盤にかけてだらけるというか話がなかなか進まなくてやきもきという感じでした。
さて、ここから第二部ではどうなってしまうのかな。
なんだかんだ楽しみではあるのです。では。
2019年2月、文庫版が出ています。